【新潟セレクションリリー】
このタイトルで何回かのFacebookの投稿
をしてきました。
『新潟セレクションリリープロジェクトとは』
新潟県花き振興協議会が事業主体で行っている事業で、オランダからまだ開発途中であるユリ品種を隔離栽培で栽培し新潟県において生産してゆけるこれからのユリを選び出す取り組みです。
この栽培管理は魚沼花き園芸組合が行っており、その内部組織である魚沼花き園芸組合技術委員会と魚沼青年花き研究会が一緒になって定植からすべての管理を行っております。
世界的に見ても、ユリの栽培というものは施設で行われているということが大半を占める中で魚沼の夏のユリ栽培は露地栽培が主体となっております。
そうしたことから、この試験栽培も植え込みから数日まで雪融けから土をいち早く乾かせるという目的で簡易パイプハウスにビニールがかけてありますが露地栽培を選択しています。
この栽培環境での試験栽培は、世界にきっとここだけと思われる露地栽培による隔離栽培であるという事と定植から開花に至るまでの栽培環境を考えると世界一過酷な試験とも言えると思われます。
(隔離栽培とは同科の植物が周囲50m以内に栽培されていないことが条件となります)
定植時の気温 5~10℃(植え付け時、ハウス周囲は雪)
開花時の気温 25℃以上
この厳しい環境での試験栽培では、そのユリの水あげが良いか、大きく育ってくる蕾は強いか、開花した花は強いかが非常に分かりやすいのです。
蕾が膨らむ時期からは雨が多くなり気温も急上昇します。
梅雨の間に急な晴れにより熱風が吹くときもあります。
ユリにとっては厳しい環境下で栽培することにより、暑さに強く輸送に耐えれるか、猛暑の中で綺麗で強い花を咲かせてくれるか。
『おれたちの夏のユリを作り出す』非常に重要な試験栽培なのです。
また、試験圃場はすべての方にも見て頂けるようになっています。
このまた開発途中のユリや品種名がついて間もないユリを一緒に見て頂くことでユリの品種開発に興味を持っていただけたら、一緒に夏のユリを見つけ出してくれたら。と思っております。
平成30年度の植え込みは4月13日に行われました。
35メートルほどの2棟のハウスに各品種がそれぞれ8球づつ、計260品種が植えこまれました。
雪融け間もない圃場に毎年4月11~13日の間に植えこもうと必死な準備作業です。
土が完全に乾く時間もなく、すべてのおいて大変厳しい環境下の中で栽培を担当している人たちが一生懸命にその試験に携わっています。
定植時の地温が非常に低い点と雪融けから定植までの期間が1週間程度しかないことから露地における蒸気消毒を行ってからの定植をしています。
(蒸気消毒とは、蒸気が保有する潜熱を土壌中に放出させて土壌温度を上昇させ、病害虫の駆除を行う技術が蒸気式土壌消毒法です。通常は施設で行われている方法を露地で採用して行っています。)
6月下旬くらいからスカシLA百合が開花し、以降OTユリ OHユリと7月に開花してゆきます。
立派に育ってくれるのか?
定植から、根を張ってしっかりと成育が軌道に乗ってくれるまでは寝ても起きても冷や汗が垂れる毎日を過ごしています。
立派に育って欲しい。そして、多くの方に見て欲しい。多くの方に関わって欲しい。
そんな風にいつも思っております。